「必生 闘う仏教」を読んで

たまたまその人に関する記事を目にし、こんな人がいるんだ!と本を手に取った。

佐々井秀嶺氏。

若い頃、三度の自殺未遂をするも、師と仰ぐ人たちとの出会いから立ち直る。出家し、タイ留学を経て33歳でインドに渡り、55歳で帰化。
今は1億人を超えるインドの仏教徒の最高指導者として「闘う」。

何に対してか?

ある日、お告げのようなものに導かれ、、

ある日、佐々井氏は、お告げのようなものを受けて、ナグプールという土地に向かう。

そこは、不可触賎民出身でありながら勉学を重ね、インド独立に際して法務大臣に就任、カースト差別を全面的に禁止する現行インド憲法を作ったアンベードカル博士が仏教復興宣言をした土地。

しかし、アンベードカル博士は、志半ばですでに世を去っていた。

 

博士の意志を継ぎ、触れることすら汚らわしいとされる不可触賎民たちに尊厳と権利を与えようと、佐々井氏は「闘う」。

ヒンズー教によって占拠されている仏教の聖地(ブッダが悟りを開いた寺)の奪還のために、2000キロに及ぶ巡礼行進を組織して、「闘う」。しかし「非暴力」を徹底する。

ヒンズー教徒によって封印されていた仏教遺跡を発掘するために「闘う」。これはインド最大級の仏教遺跡という。これによって仏教徒は誇りを取り戻したという。

「座禅や瞑想は、立ち上がってからなにをするか、そのためにある」

「この人生すべてが、瞑想なのではないでしょうか。
生きる姿勢そのものがヨーガのアーサナであり、座禅であり、

呼吸や会話が念仏であり題目であり、

現実社会で慈悲を実践して行うことが仏道である」

何度も暗殺されかかってすらもひるむことなく、その言葉通り自分の信じる道を突き進む82歳。

こんな(元)日本人がいるんだと驚きと崇敬の念を禁じえない。

 

「必死」ではなく「必生(ひっせい)」

「煩悩なくして生命なし。煩悩は、生きる力なのです。」

写真に見る佐々井氏の姿は、仏僧というよりは荒ぶる武士なのである。