利潤は不要!「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」を読んで

鳥取県にある「タルマーリー」の店主、渡邉格さんの本。店はお世辞にも便利とは言えない場所にあるらしい(この本が書かれた頃にあった場所からその後移転したようだ。が、やはり訪れるには便利な場所ではなさそうではある)。

週に3日は休み。年に1回は長期休業。

30歳にして大学を卒業。食の会社に勤めていたある日、突如「パン屋になる!」と決意して修行の道に!奥様のまりさんとともにまずは千葉で、そして鳥取に移住してパン屋を始める。

週に3日は休業。年に一度は長期休暇。地元の創り手から適正な価格で仕入れ、商品を正しく高く売る。

「自然の摂理に反する安い食べものは、食の創り手から技術や尊厳を奪っていく」と痛感し、非効率ではあっても手間と人手をかけて丁寧にパンを作る。生産規模を拡大することを目指すのではなく同じ規模で経営を続けていくのには利潤は不要、と利潤と訣別すると決める。

天然麹菌でパンを創る!

この店のパンの一番の特徴は、古民家に住む「天然麹菌」を集めて創ること(すべてのパンが天然麹菌で作られているのかは本からは不明)。

そこに至る気づきや実現までの苦労、マルクス(!?)を読み込みどんなパン屋を目指すのかを考えていく過程、これから目指そうとしていることなど、一人の人間の生き様の記録としても興味深く、一気に読める。
この本の中で紹介されていた「小商いのすすめ」という本も読んでみようと思う。