地政学、戦略学の専門家が書いた「人生の戦略」本

地政学、戦略学の専門家である奥山真司氏の「人生の戦略本」。
ある読書会に参加した時に、他の方がもってきていたこの本、ちょっと興味をひかれて読んでみた。

だいたいこんなことが書いてあった

タイトルにある「武器」とは、今もっている技術。
そこからスタートして物事を考えていてはいけない。

戦略と戦術を混同せず、世界観(ビジョン)、政策(ポリシー)、大戦略(グランドストラテジー)、軍事戦略、作戦、戦術、技術のピラミッドを意識することが重要。このピラミッドの上から考えていき、最後に落とし込むのが技術。下からではない。

だが実際のところ、日本人はビジョンから落とし込むことが苦手なので(
日本人には、全体を見渡して自分の都合のいいように世界を変えてしまえばよい、ーたとえばルールを変えてしまうといった発想が希薄である 前に読んだ「なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか〜ルールメイキング論入門〜」はこのあたりを詳しく書いている)、自分が今このピラミッドのどの位置にいるのか、あるいはどの位置のことを考えているのかを意識していくことから初めてみるだけでも違う。

戦略的に生きるための日本人の提案としてあげるのはこれ。
数値評価が可能でゴールが目に見える「順次戦略」とコツコツ積み上げる隠徳のような「累積戦略」を並行して行おう。

かつての日本人は累積戦略ばかりだったため、欧米に習って順次戦略をもっと!というのが最近の風潮。ビジネス本もこの傾向のものが多い。その中で、累積戦略なんかいらないという行き過ぎたものも見られるのはとても危険だ。どちらかではなく、両方、が重要。

自分との闘いとも言える累積戦略(日々のよい習慣を積み上げる)を繰り返し、自分のコシの強さを自信にしつつ、①常に冷静に、②選択肢を持ち、③柔軟に考え行動していくことが肝要である。

まずは自分のビジョンを盛り込んだ戦略文書をしたためよう!

面白かったこと

本筋ではないが、例にあげていたフランスの大学の入試問題に日本との差を考えさせられた。
パーティーからの帰り道、セーヌ川にかかる橋で自殺しようとしている若い娼婦に会った。彼女に自殺をやめて人生を前向きに生きるよう説得する文章を書け」
こういう入試だからカンニングのしようがないという。

考え方の軸をもっていないとこの答えはかけないだろうなあと感じてしまった。

累積戦略と順次戦略との2つ、7段階のピラミッド。
これを明確にしているのが類書との差か。

累積戦略をきっちり。
順次戦略もしっかり。

その前に自分が生きていく上でのヴィジョンから落とし込んでみる。

とにかく字で絵で書いてみる。


大事なのは「世の中を変えるのは、結局自分しかいない」という認識を持つことと著者はいう。
(自分にとっての)世の中を変えるのは結局自分。人に与えてもらうものではないというしっかりした意識を持って生きていかなくちゃ、ですね。
これは50年余を生きてきて、やっと本当に腑に落ちて行動にうつすことができてきたかなと感じているところ。

スピード、効率だけでは取りこぼしてしまうことも多い。

そして意外にそこにとても重要なものが含まれていることも少なくない。
「考える」時間をとることを、改めて心がけようと思う。