「2100年、人口3分の1の日本」を読む

2100年、人口3分の1の日本」鬼頭宏著 メディアファクトリー新書を読む。
著者は歴史人口学者。
日本の人口は2055年に9000万に、2105年には4000万になる、という予測がある。それはいったいどんな日本なのだろうか?

1974年、日本は人口を減らすべきだ!といっていた

まず驚いたのは、1974年の「人口白書」で、日本は「子どもは二人まで」とする大会宣言を採択し、人口を減らすべきだとしていたという事実。

6年前倒しで人口減少目標を「達成」した日本では、今後一人暮らしの高齢者が激増。2030年には単独世帯が37%に達し(2005年には29.5%)、そのうち88%が高齢者世帯になる。とくに東京圏の変化が顕著で、2035年までには高齢者世帯が占める割合は34%に達すると、著者は予測する。

移民を受け入れれば解決するのか?

そんな状況打開のためには移民を受け入れればいいという声もあるが、2050年の段階での生産人口維持のためには3233万人の移民を受け入れる必要があると試算されるという。1/3が外国人という社会。それだけの移民を受け入れるだけの覚悟があるのか、彼らを支える(たとえば日本語を習得してもらう)しくみをつくれるのかと考えると、課題は多く、簡単なことではない。

超内需型国家の日本。国際市場を意識した日本食の開発も?

世界銀行の調査によれば、日本の貿易依存度は世界170カ国中164番目であり、超内需型国家。が、日本人の数が減れば買い手は激減する。

海外市場にうってでなければならないわけで、発信型の外国語教育が必須となる。それも英語だけではなく、中国語など他の国の言葉を話す重要性も増す、と著者はいう。
食の分野では、イタリアのように、国際市場を意識した日本食の開発もまた必要なのではないかとの提言も。

読んでみて

2055年には、私は90歳を越えている。その時代を目にすることができるかはわからないが、その時、娘がすでに60代。老老介護の大変さについては今もすでに指摘されているが、今後はさらにそうしたケースが増えることになる。


そんな未来社会に向かって、ではどうしたらよいのだろうか。個人的には、とにかく最期まで一人で生活できるだけの健康と経済力を持っている必要があるなというシンプルな感想しかでてこない。

労働生産性が先進国の中で実は最下位。
別居している子どもと連絡をとる回数が先進国の中でも際立って低い(子どもは家を出ると親と疎遠になる傾向)。
結婚している女性の出生率にはほとんど変化がなく、初婚年齢の上昇と生涯未婚率の増加が出生率を35年で4割下げた要因。
休暇が増える社会になることで、都会と田舎の二地域居住が現実的に。

このあたりを深く考えていく中に、何か鍵があるのかなという程度にしか、今はまだ考えられない。